五感でみつける 目で感じる
わたしの身体感覚回復活動
なかなか大げさなタイトルをつけてしまったけれど、今回はアートにまつわる個人的な身体感覚とのつき合い方を少々。
今住んでいるエリアは野外彫刻が街じゅうにあって(その数およそ200あまり)、幼少のころから彫刻というものは街路樹のように当たり前にそこかしこに点在しているものだと思っていたら、それはとても特殊な環境であると気づかされたのは郷里を離れてずいぶんたってのこと。
そして再び数年前この地に戻り、アートコミュニケーターという地域とアートと人をつなぐ活動に関わってみると、彫刻作品を手で触れてみたり、はたまた登ってみたり、潜ってみたり(実に、地元の子どもたちはアートなのか遊具なのか(!)という感覚でいます)―日常的にオープンエアーで自然と共存したアートと親しめる環境は世界中探しても希少とのこと(by国立美術館のI先生)、そうした貴重な体験をやっぱりシェアしてゆきたいなと思うのです。
というのも、そうした子ども時代の「身体感覚」がもしかすると地層のように心身に沁みこんで、視覚だけにとどまらない「手触り」の原始的な感覚として体じゅうを駆け巡り、温かな幸福感や安心感、望郷の想いなどに変換されながら、こころの奥底が豊かに耕されてゆくのでは、と思うから。
大人になって、郷里に戻ることはときにネガティブなイメージを持つ人もいるらしいけれど、わたしの場合はこうした自身の「五感の原点」を改めて見出す旅の途上にいられて、なかなか興味深い日々を過ごしています。
確かにある方向から見ると不便さや不足が目につくし、都市部だけで暮らしている方からすると「ない!ない!」尽くしなのも事実。
けれども、わたしの場合は、かつての都市生活ではすっかり影を潜めていた五感の一部が研ぎ澄まされてきたのかも、とうれしくて、日常の景色が変わってきつつあるのです。
そして、こうして何かしら自分でできること、すきなことで地域にささやかながら還元できていることが、自分の癒しや回復にもつながっていて。
スロー・ダウン、というかスロー・リカバリー。
それはなにもUターンするとか、地方移住しなければならないということではなく、たとえば自分の部屋の模様替えをすることで急に世界が変わるということかもしれないし、今の生活ひとつひとつのリズムー休日だけは朝食をいつもの2倍かけてゆっくり味わうとかーをのんびりしたものに変えることかもしれない。
(ただ、いずれもある程度“意識的に”やってみることをおすすめ。)
すると何かどこか尖っていた思考や視点がゆるりと削られ、自分にフィットしたちょうどよい懐かしい感覚に着地する。そんなめぐりがある日やってくる。
折しも夏休み。Take it easy!(のんびりいこうよ!)の精神も日常に少々トッピングしてもよいのかもしれないなあと思う8月です。
2023年8月2日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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