フィトテラピー − 体と心が美しくなる処方箋

織られた月光を着る

猛烈な暑さからようやく逃れ、秋の足音を感じるこの頃。この夏はあまりに暑かった。これまでになく汗かぶれもしやすく(今年はそんな方が多かったかもしれませんね)アレルギー体質の私は汗を洗いぬぐい、朝晩の手作りハーバルスキンケアでの全身保湿ケアは欠かせませんでした。そして、強烈な紫外線から素肌を守るため、あえて長袖のブラウスを着ていたほど。そんな今夏、改めて感激したシャツブラウスの素材がありました。麻素材“リネン”です。“リネン”は通気性が良くサラッとしつつも柔らかい肌ざわり。外で大汗をかいて室内で冷風を浴びる・・・そんな真夏の過酷な寒暖差から素肌を守るのに大いに役立ってくれました。

“リネン”
植物プロフィールとしてはアマ科の亜麻(和名あま・英名フラックス)という一年草の植物。青みがかった薄紫色の可愛らしい花を咲かせ、その種子からは亜麻仁油(フラックスシードオイル)が抽出されます。亜麻仁油は必須脂肪酸オメガ3(αリノレン酸)を50%以上も含みさらにポリフェノールの一種であるリグナンも抗酸化成分として現在とても注目されています。そして、この亜麻の茎にある植物繊維で織られた生地が英名“リネン”です。古代エジプトではこの“リネン”を“Woven Moonlight”と呼んだそうです、直訳すると“織られた月光” という意味。真新しいリネン生地には確かに月明かりのような静かな光沢がみられます。生地の手ざわりはパリッとしながらも着ていると肌にふんわり寄り添う感じ。“リネン”は繊維が細く柔らかく他の麻素材よりもやさしい肌ざわりなのです。フランス語では“ランジュ”と呼ばれ“ランジェリー”の語源でもあります。その機能性を体感するとランジェリーもわかります。発汗しても汗を吸収しつつ外に逃がす感じが素晴らしく、気づけば肌にベトつかず通気しています。又、冷房のききすぎた寒いほどの室内では体内の熱を伝導させ保つチカラもなかなかのもの。調べてみると亜麻の茎の繊維は中が空洞で空気を溜め込む性質があります。ですから繊維は丈夫な上、汗などの水分を吸収し蒸散しながらも程よい体熱空気を溜め込むことができるのです。もしかしたら、この秋冬にも着用したいかも・・・そんな気になりました。

ちなみに“麻”と呼ばれる繊維が採れる植物は複数あります。
“麻”とは植物の茎や葉にある繊維質から作られる天然素材の総称のこと。これら麻繊維に共通する性質は繊維強度・蒸散性・速乾性など。ただし家庭用品の品質表示において“麻”と明記できる植物繊維は、アマ科の“リネン(亜麻 あま)”とイラクサ科“ラミー(苧麻 からむし)”のみ。“ラミー”は古くから日本に自生し“ヘンプ(大麻 おおあさ)”とともに日本人の暮らしに根付いてきました。ちなみに“ヘンプ”は注連縄など神事にも使われる神聖な植物で有名です。又、“リネン”はエジプト・アジアあたりが発祥のようで人類最古の生地とも伝えられています。日本でも近年、北海道などで亜麻栽培が定着し国産“リネン”が増えてきています。

さて秋を迎えて“リネン”
今夏改めて感じ入った“リネン”の風合いと機能性の良さ。“リネン”は春夏がメインの素材ですが、ここ数年、夏は猛暑・真冬は極寒・・・外気とエアコンのきいた屋内との過酷な寒暖差を感じるなかで、“リネン”のもつ機能性は一年を通じて役立つのではと感じはじめています。たとえば真冬の時期に厚着で出かけ暖房いっぱいの地下鉄や車内で大汗をかいた、、、なんて体験は誰にでもあるはず。そんな時に“リネン”をニットのインナーとして着用していたなら・・・と、ふと思うわけです。“リネン”の生地は着れば着るほどふんわりと柔らかい風合いになる上に繊維が強く洗濯を重ねても丈夫です。たとえ真冬の電車内で汗ばんでも通気良くすぐに乾きますし素肌と生地のふんわりした隙間の熱は重ね着の暖かさをキープしてくれるはず。お肌にとって自然な皮膚呼吸を保てるのではないでしょうか。
・・・ということで、この秋冬には、春夏に着古した少し厚手の“リネン”のシャツブラウスを衣替えせずにウールの下に着合わせてみようと楽しみにしています。・・・気になる方、オータム&ウィンターinリネン!ぜひトライされてみてください。

日本には古来より「神様は“麻”をつたって天から地上におりてきた」という言い伝えがあり、神道では「“麻”の植物は邪気を祓う」とされています。フラワーエッセンスは電磁波から守るためによく“麻”袋を用います。現在の暮らしのなかではスマートフォンやパソコンなどの電磁波を含め、いわば様々な邪気があふれています。そんななかで心身を守る一つとして、人類最古の麻生地と呼ばれる植物繊維“リネン”を着る・・・ “リネン”のもつたくましいプロテクト力と浄化力を改めて感じ入りながら、今日もまた“織られた月光を着る”わたしです。

2018年7月13日 

< 戻る 次へ >

過去のselfcareページはこちらです

塩見麻衣美
植物療法士

東京生まれ O型
太陽星座 牡牛座
月星座 双子座

◇これまでの経緯
アパレルメーカー販売を経験後、広告代理店にて店頭販促の企画に従事。後に大手菓子メーカーに転職し、レジャー施設開発プロジェクトにて商業施設の企画開発に携わる。多忙な毎日のなか、心と体に不調を抱えるようになり、2003年にフラワーエッセンスに出逢いその力に魅了される。体の不調は様々なハーブや精油によって癒され、植物のヒーリングパワーに強く引き寄せられるようになる。在職中の2005年頃から本格的に植物療法士を目指し学び始める。資格取得後、「カリス成城」初台店にて販売勤務を経て、現在はフリーの講師業をメインに、高齢者介護施設でのアロマトリートメントのボランティア活動や、ライフテーマとして“月とハーブと心と体”について独自に探求する日々を送っている。

◇学びの経緯
*2006年 ニールズヤードにてフラワーエッセンス講座「ヒーリングハーブス アドバンストコース」修了。
*2006~7年 植物療法講座「ヘルス&ビューティ」コースにて植物療法士1級の資格取得。(国際植物療法協会/現在:一般社団法人自然療法機構認定)
*2012年 自然療法士資格認定を取得。(一般社団法人自然療法機構認定 )

◇活動◇
*笹塚の自宅にて“月とハーブと心と体”をテーマにした小さなワークショップを不定期に開催。
*2011~13年の1月に響探求会にて「月とハーブ」をテーマにお話をさせていただいている。(響探求会では受付のお手伝いもさせていただいている。)
*2013年秋より九段下にて「月のリズムとハーバルビューティ」講座、「仕事に生かせるアロマ&ハーブ」講座などの開講を準備中。

このページのトップへ
Copyrights © 2016 Mahina Pharmacy All Rights Reserved.
当ウェブサイト上のすべての文章や画像などの無断転載・引用はご遠慮ください