五感でみつける 目で感じる
うすむらさき色に呼ばれる春
きっと外を歩いているほとんどの人が同じことを考えながら春を満喫しているんだろうな、とわかる日曜日―「今日はとても気持ちのいい日!」
そんな好天に恵まれた日に、向かいたくなる“ひみつの場所”。
公園でもなく観光スポットでもなくー某施設が所有している海を臨む小高い丘の上の広場。
空、風、海、植物。地上のすてきなものが全部目の前に広がる場所。
到着するとまずは春のルーティン、その場所では最長寿と思える桜の大木にご挨拶。ぐんと伸びた枝も、それらをささえる幹もー佇まいだけで詩になりそう。
少し歩いてお次は桜の回廊へ。ただただため息。
風が運ぶ花びらで足元には薄ピンクのじゅうたんが広がって、もはやそれだけで目も心も200%満たされる。
―のだけれど、実はもう一つのお楽しみ!1年ぶりの“むらさきさん”詣。
ひとつめは、桜の木の下に控えめに広がるスターオブベツレヘム。
くだんの巨木の桜の木の下に実はこんなに可憐な“うすむらさき”の妖精さん。
寄り添い合って咲き誇る花々から歌さえ聞こえてきそうで耳を澄ます。
続いては、今年も元気、野すみれたち。
ここ数年、この丘の上のすみれの様子を観察するのがひそかな楽しみになっていて、こちらもわたしの中では春を告げる大事な妖精さん(2号)。
うすむらさきチームよりはベルベットのような質感の濃いしっとりしたむらさきさん。愛らしさの中にも気品さえ漂って。
人間の世界がコロナ渦や物価上昇やー日常を脅かすニュースで疲弊している中でも植物界はこうして変わりなく平穏なたたずまいと清らかな色彩を放つ。
その姿をまたこうして今年も確認できたしあわせをゆっくり噛みしめる。
ただ存在してくれているだけで心をまあるくしてくれる春の“むらさきさん”。
そうそう、第3号も忘れてはなりません。ちょっと場所を変え、近くの公園に元気よく群生しているローズマリーもこの季節の大切なメッセンジャー。
むらさき、といっても実際間近でじっくり観察してみると、視覚だけでなく心で感じる“わたしだけの色”というのもあって、はかなげだったり力強かったりー自分だけの春の色が脳裏にじわりと刻まれる。
朝起きてから寝るまでなんだか代わり映えない日々。なんて、もし思っている方がいるとしたら、ぜひ自分だけの“むらさきさん”を見つけに出かけてみては?
2023年4月6日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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