五感でみつける 目で感じる
home
「おかえり!」という一言がいつになく染みわたる瞬間。
例えば大切な人が帰りをずっと待っていてくれていたとき。
長らく離れていた場所へ再び訪れることができたとき。
そう、実は先日こうした「おかえり!」体験をしてきたばかり。
地方都市に移り早5年強の月日が流れ、東京の街に数年ぶりに降り立ったのでした。
都内で暮らした歳月の割合のほうがよほど大きいというのに、すっかり今の場所に根付いてしまい、大切なもう一つの”home”がなりを潜めてしまっていた数年間・・・。
とはいえ、そんなふうに感じているのはあくまで自分だけで、いざ古巣に降り立つと街並みだって友人たちだってーそうした空白期間なんてまるでなかったかのように温かい。
クリスマス前のけやき並木のプラチナ色のイルミネーション。街角を彩るホリディ気分満載のディスプレイ。
そうそう、こういうキラキラビームがこの時期にはいつもあふれていたのだっけ。
生まれ育った場所で、与えられた枠での暮らしから都会へと飛び出し、一見自由になったようでまた新たな枠にはまり、一時はぎゅうぎゅう詰めな気持ちになったこともあったものだったけれど、結局のところ、どこに住もうがコアにあるのは、環境そのものよりもたぶんその地で育んできたつながり。
ところでここ数年、わたしはコミュニティ・アートというちょっとした地域の活動に関わっているのだけれど、先日お話下さった東京芸大の先生曰く
「地縁でもなく血縁でもないーアートを介するいわば“文化縁”を社会の中で広げてゆきたい、大事にしてゆきたい。」
そう、わたしも激しく同意。アートを介する話はこのエッセイとは別のところでまた記すとして、最も琴線に触れたのは、この家族とも違う、ご近所さんとも違うーなにか共通の価値だったり志だったり、そうした自身の根っこを共に分かち合えるご縁の力について。
長らく物理的に離れていても、「ただいま!」「おかえり!」を満面の笑みで伝えあえるようなご縁。
そういうわけで、わたしの師走はこんなふうにささやかなノスタルジーと静かな幸せ感とともにはじまったところ。
北風とともに改めて自分にとってのhomeを確認しながら、感謝しながら本当に“ありたいつながり”に想いを馳せるのでした。
2022年12月8日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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