五感でみつける 目で感じる
「なんとなく」の芽
昨年末頃、ひょんなことから近くに住む子どもたちの
英語レッスンを引き受けることになり早数カ月。
普段はひとりで過ごすことが好きなHちゃん(9歳)も、レッスンを
楽しみにしてくれるようになり少しずつ距離が縮まってきたところ。
先日のテーマは“What’s your 〇〇?”。
What’s your dream? (あなたの夢は?)
と尋ねたら、最初に返ってきた答えは「薬剤師」。
が、しばらくしてHちゃん、
「実はね・・・」とはにかみながらこう言いました。
「薬剤師も興味はあるんだけど、本当の本当はねー科学者。」
「こんなこと言って叶うわけない、って思われるかもしれないから誰にも
言ったことないけど、なんとなくずっと興味あって。」とHちゃん。
「いい!すごくいいと思う!」とわたし。
「すてきな夢だし、Hちゃんが本当の気持ちを言ってくれたことが
何よりうれしいー。」
「叶うかな?」
「じゃあ、英語で宣言してみる?“わたしの夢は科学者になることです。”」
“I want to be a scientist.”
力強く自分の夢を口にしてみたHちゃん。宣言してみると力がみなぎったそうで、何度もこのフレーズを繰り返していました。
わたしはそばで見守ることしかできないけれど、まるで可能性がないことはそもそも自分の中に湧き出たりはしないと思う(me調べ)ので、きっと何かしらの導きに今後出会ってゆくでしょう。
とてもささやかなやり取りなのだけれど、そのときHちゃんの一言でハッと
気づかされたのは「なんとなくずっと・・・」のくだり。
わたしたちはいつの間にか、この「なんとなく」にフタをして、なかったことにしたり、それどころか気にかけることすらせず日々に埋没してはいないかしら?
そんなことを思いました。
思えば、わたしのちぐはぐだった回路が整いだしたのは、この「なんとなく」に従ってからで、そしてそれはいつもシンプルな問い、「それをわたしは好きなのかそうでないのか?」で立ち現れてきたものでした。(今でもですが!)
誰かの高い評価が得られてる、とか目に見えて数値的に役立ってる、とかそういう自分ではないかもしれないけど、自分の中の「なんとなく」の芽には日々少しずつ水やりしているつもり。
思いがけずHちゃんとのやり取りでわが身を振り返り、英語それ自体を伝えたりすることも楽しいけれど、実は本当のところこういう感情表現に潜む「こころの動き」みたいなことにフォーカスしている時間が一番しあわせ。
そうやっていくつになっても自分の輪郭を確認しながら自分にとってぴったりくる巡り合わせとともに日々をたがやし続けている次第・・・。
そういう意味で「なんとなく」はきっと、本来のその人に必要な扉を開けるために必要な感覚なのかもしれません。
どうか小さなその芽を大切に。
本当のこころの声を大切に。
2022年5月16日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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