五感でみつける 目で感じる
しずかなかがやき
思い起こせば、心に残っている小説や映画はこころに傷を負ったり挫折したりといった登場人物がゆっくり再生してゆくさまが描かれている物語ばかり。
最近観た中では、数々の映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』もそうだったかも。
意図的に、というより10代の頃から無意識のうちにこうした物語にセンサーが反応してしまい、結果的に「好きだなあ」と思える作品は再生の救いが描かれていること多数、なのです。
さらには。
モノにも同様で、洗練されすぎたものや、最先端を行くものより、時を湛えた古いものや、芸術性がありながらもどこか不完全なものに惹かれ、愛着が湧いてしまいます。
そういう意味で日本の金継ぎのあり方はまさにわたしのストライクゾーン。
傷ついた器に手を加え、新たな魅力で再生する。さらにすばらしいのが修復後本来の価値をより高める。日本文化の美学に驚嘆します。
これは日本人の私たちだけでなく、海を越えて礼賛されているようで、金継ぎへのリスペクトを込めたこんなすてきな歌を知りました。
「Japanese Bowl」 by Peter Mayer
この歌の中で、
I did not hide the cracks
It made them shine instead.
“ひび割れを隠さずにかわりにそこを輝かせる”
とあります。
そう、わたしが不完全な人生、人、モノに惹かれつづけるのはそういうこと。
日頃行っている英語のレッスンでも、このJapanese bowlのように
完璧であろうとしないことをむしろよしとしています。
だからこその人間味やその人そのものの魅力が発露する。
たとえ今はまだ自身を肯定できなくとも、
そこからゆっくり変容してゆくそのありようこそが美しい。
だから金継ぎのように傷は隠さなくていいし
むしろそれを活かしてより輝かせることができる。
そうした精神で、例えばコミュニケーションに対する不安や
挫折の痛みを携えた方々にマインドの金継ぎをしていたい、
なんて新たな視点で仕事との向き合い方が生まれたわたし。
自身の中で惹かれ続ける世界観の点と点。
それがまさかの金継ぎで線になるとはいささか飛躍しすぎでしょうか?
不完全さの可能性を追求する日々はまだまだ続きそうです。
*information*
最近、英語学習に潜むセラピー効果に気づいてしまい
その探求のあれこれをnoteに書き始めました。https://note.com/languagetherapy/
ご興味ある方はどうぞお立ち寄りください!
2022年4月17日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
https://lit.link/doers