五感でみつける 目で感じる
梅の香とレジリエンス
梅まつりは来週からだと聞いていたのに、どうしても梅の開花ぐあいを
確かめたくてふたつ先の町にある天満宮へ。
立春も過ぎ、受験生らしき参拝客やお散歩がてらいらしたとおぼしき
人々が時折通り過ぎるくらいで、神社本来の静けさと平安さにホッとする。
お正月時分のあの参道にさえたどり着けない人混みっていったい・・・。
お詣りを済ませてお目当ての梅園に向かってみるとー
残念。まだ三分咲きくらい。
とはいえ、時折「わたしを見て!」といわんばかりにパーッと華やかに咲き誇る一輪を枝の端っこに見つけたりもする。
つぼみばかりの枝であっても梅特融の甘い香りで鼻腔が満たされてーしばし連れとわたしだけで梅時間を満喫。
メジロも気持ちよさそうにやってきて、ああ、確実に季節はめぐっているのだなあと肌で感じる。
聞くところによると、梅の花ことばは「逆境に打ち克つ」(諸説あるようですが)。まさに今この時代、この瞬間の気分だなあとその符号にハッとする。
逆境。日々暮らしていると平坦なことばかりとはいかず、思いがけない坂道や落とし穴やーまさかこんな・・・という出来事に遭遇するのが世の常だけれど、
梅だって気候の脅威にさらされたり、天から地から不可解な天敵に攻撃されたり、きっとその香り高い可憐な姿からは想像しえない苦難が一輪一輪の物語の根底に流れているはず。
―なのだけれど「その時」がやってくれば自然とつぼみが膨らみ開花を遂げる、というマジカルな自然界のギフトのおかげで、そんな大変な時間などまるでなかったかのように、かぐわしい時間で包み込んでくれている。
もしかしたらー実はその「逆境」の時間さえも養分にしているのかしら?
だとしたら。
わたしたちも今まだ続く先の見えそうでみえない不穏な情勢さえ、なんとか養分にしてみたい。
逆境に打ち克つ。
レジリエンス(困難さに適応する力、しなやかな回復力)を持つ。
生易しいことではないけれど、梅と重ね合わせてみるなんて我ながら
まんざら悪くない発見。
梅園を過ぎて、今まで足を踏み入れたことのなかったお茶室へ向かう。
この神社の中にこんなすてきな場所があったなんて。
平安時代にタイムスリップしたような庭園の中にたたずむ空間で供された
濃いお抹茶は、さきほど梅の木にとまっていたメジロの美しい羽色と同じ翡翠色をしていた。
2022年2月17日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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