五感でみつける 目で感じる
星の時間の流れるところ
既に知っているはずのことばを、あるときふいに
まったく別方向から眺めたら、
まるで新しいいのちに触れたかのような
新鮮な驚きが湧きあがり、
感受性のうつわがひたひたと溢れそうになるー
そういう経験ありませんか?
かくいうわたし。
つい先ごろそうした感覚が呼び覚まされることばに
出会ってしまいました。
それは「自然」(じねん)ということば。
自然の「自」という漢字には「みずから」と
「おのずから」というふたつの意味があると
その臨床心理学の先生はお話されたのです。
「みずから」は主体的な意思を、「おのずから」は
ものごとが勝手にそうなることを意味する、と。
自然(じねん)とはそのふたつが合致する時のこと。
「みずから」ばかりは空回りとなり
「おのずから」を待っているだけでも何も起こらない。
そのふたつが絶妙に合致する瞬間、というものがある。
それが「自然」(じねん)という概念なんだよ、と。
これは先日、不朽の名作『モモ』の世界観を
読み解く番組に出演されていたくだんの臨床心理学者、
河合俊夫さんがおっしゃった言葉です。
とても印象的だったので深く記憶に刻まれて、
こうして書き記している次第。
肝心の『モモ』について、ここではやむなく割愛しますが、
(ほんとうは語りたいことでいっぱいなのですが!)
物語では、この「自然」(じねん)の感覚が
「星の時間」と呼ばれています。
「星の時間」をどうつかむか。
それは自分自身が無から立ち上がるタイミングで
あったり、一見なにも変わらないようで、実は
根っこが存分に充電されている時間であったりー
みずから と おのずから の交わる
星の時間感覚―
とても深い森に分け入っていくようで
でも不穏な闇のような中でもふっと五感が開き
しかるべき場所へと導いてくれる星々のような
存在とともにある状態なのかもしれません。
暗中模索すぎて不安で怖くてー
でも。
きっと誰にも自分だけの星時間が流れていて
それをつかむ瞬間がくる。
はやいとかおそいとかそうした感覚を超えて。
偶然なのか必然なのかーその人にぴったりの。
感覚の回路をあちこち切り替えながら
肌感覚でそんな「自然」(じねん)の瞬間をつかみたい。
そんな秋の入口です。
2020年10月2日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
https://lit.link/doers