五感でみつける 目で感じる
旅先、緑の光線に想う。
最寄り駅を利用するたび目にする特急列車。
1日2、3本しか運行していない特急列車。
あの列車に乗ってゆけば遠いあの町へたどりつく。
思い切って飛び乗って、あの町まで行ってしまえたらどんなに爽快かしら。
そんな現実逃避を脳内で繰り広げては駅のホームに
ぼんやり佇んでいたいつものわたし。
ところが今日は様子が違う。
妄想が現実へと転換する日。
もうこの列車に乗り込む人を羨んだりしない。
今日はわたしも乗客。そして旅人。
ー遡ること2、3日まえのこと。
遠方の友より、"本当に急なんだけれど"という書き出しでメールが届いた。
わたしが常々気になっていた特急列車が停車するその町まで、
はるばる飛行機でやってくるという。
明後日。
終日休み。
今だ。
わたしの「特急列車飛び乗り計画」が実行されるのは今しかない。
ダメもとで会えるかどうかを確認してくれた友人にあっさりOKを伝え、
意気揚々と当日を迎え、特急に揺られること3時間。
旅の移動は日常の時間感覚をあっさりと混ぜ返しては新鮮な気分を運んでくる。
都市部ではなく地方への移動はなおさら、別次元の時間軸で24時間を刻んで
いるかのように1分10分がゆるやかな気配で過ぎてゆく。
木々や山々、水辺ー自然と親しむセンサーもそうした時間軸の中で
じわじわと本来の感覚を取り戻しはじめる。
例えば木のまわりでしばらく過ごしたくなる。
観察したくなる。
湿り気を帯びた緑。
ひかりとダンスしている緑。
青空の背景をカラフルに背負う緑。
境内を真っ直ぐ切り抜けるような清らかな風。
水辺からの爽やかで頬をそよぐ風。
視覚だけでなく、
風を感じる肌感覚も
研ぎすまされてくる。
ひかりも空も風もつねにいつもの生活環境に
用意されてるのに
いつの間に日常の持ち重りがセンサーを
鈍くしていたのだなあと気づく。
逆にいうと
そうした「曇り」を払ってくれるために
不意の友人の訪問があったのかも、とミラクルに感謝する。
これからまたもしふいに遠くへゆきたい衝動にかられたら、
素直に自分の内なる声に従ってみよう、と決めた。
何も海を越えなくとも何泊もしなくとも旅は旅。
自身の時間やお金の許す範囲で自分をリリース。
わたしにとって旅は逃げ出したいんじゃなくて、
自分の中で錆びついたり眠ってる何かを目覚めさせるため、
再始動させてくれるため、って気づけたから。
2018年6月28日 ●
Miki
English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々
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